Little AngelPretty devil
      〜ルイヒル年の差パラレル

    “文月が来たの♪”



本当に梅雨の雨だったものかが怪しい、
ゲリラ豪雨や台風による驟雨がガンガン降ってた六月が、
気がつけば…というノリで通り過ぎた気がするのは、

 「ちょうど週末ってキリの良さだったからだろな。」
 「そだね。」

そういう流れゆえ、始まりが日曜日だったこともあり、
トイレや玄関付近だので、
カレンダーをめくることさえつい忘れていた箇所があったほどに。
あ・そうだ、もう七月だったと思わされたのも そんなせいかも。

 「それって ママもゆってた。
  でも、セナはちゃんと気がついてたもん♪」
 「まぁな。俺らには七月も長いしなぁ。」

昨日も蒸したが、今日も気温は上がるようで。
朝からじんわりとしてきたことへ、
陽が差してるからしゃあないか…と
それでも む〜んと形のいい眉を寄せたのが、
蛭魔さんチのヨウイチくん。

 「小学生は、夏休みまでには まだ間があるもんな。」

これはもーりんさんも勘違いしてたらしいけれど、
海の日の前後がそのまま“終業式”だったのは昔の話。

 「今は“ハッピーマンデー”とやらで
  第3月曜にズレてるからなぁ。」

そんな変化のお陰様、
年によっては…つか、今年は何と16日と相成ったので、
直後でも17日が終業式、
前日設定だったなら当たり前の話ながら14日が土曜なので、
何と13日となってしまう大盤振る舞い。

 「まさか、そこまで早く始まっちゃあなぁ。」

しかも、九月一日は土曜日だから、
どんだけ長い夏休みになることか。(笑)
お子様には チョー嬉しい話だが、
お母様がたが悲鳴を上げること、
間違いなく請け合いな事態に他ならぬ。(大苦笑)

 「マックやケンタが賑わうんだよな。」
 「コンビニの冷やし中華も好きvv」

お胸の真ん中に大きなロゴがプリントされ、
襟ぐりと袖口だけマリンブルーで縁取りされた
ゆったりTシャツにデニムの短パンという、
いかにも夏向き、軽快で愛らしいいで立ちのセナくんが、
にゃは〜vvと笑ったのへ、

 「お前の場合は、あんだけ料理が上手な母ちゃんだもんよ。
  滅多に食えんから美味く感じるんだって。」
 「そかな?」

おややぁ?と小首を傾げたセナくんが、
律義にお母様へも話したもんだから、
後日にヨウイチくんが遊びに行ったおり、
それは歓待されたというおまけが生じたやり取りでもあったのだが、
まま、今は それはともかくとして。

 「大学生はもう休みだもんな。」
 「そーだよね。」

高校生だって、期末テストに入るから早引けんなるし、
それって3日か4日の話だから、
今週の内ってすぐにも休みなんだよなぁと。
さすが、大きいお友達がおいでの坊やたち、
なかなかの事情通なようであり。

 「ルイや進が高校生のときは、
  そいでも夏休み直前まで春大会とかあったから。
  毎日ガッコに来て1日練習してたし、
  そもそも、そんな無茶苦茶 遠くもなかったのにな。」

 「そだね。」

そうは言うけれど…と。
此処にそれぞれが親しくしているお兄さん、
つか、その当事者のすぐ周囲のチームメイトの皆様がいたならば、

 『今だって、そうそう遠くはないよなもんじゃね?』

なんてこと、感じたかも知れぬ。
だって、片やは相変わらずに、
ケータイでの傍若無人な呼び出しをかけてらっしゃるし。
(ちなみに、ルイさんの方でも、呼び出しを見越してだろう、
 坊やの授業予定を毎月前以て訊いといて、
 昼休みや放課後に間に合うよう、
 早めに小学校方面へ流す習慣がついておいで。)
もう片やの坊やの知人のお兄さんもお兄さんで、
所在地の間近い付属大学へと進学したお陰様、
高校時代より 凄まじく遠くなった訳じゃなし。
しかもしかも、そっちの頼もしきお兄様も、
常人離れした脚力にて、
小学校までという遠路はるばる、
ジョギングで顔を見に来てくださる習慣も変わらないので。

  大学へ進学したから、
  遠くなって、逢えなくなって、寂しい

とは言えない身の上じゃんかと、
呆れられること請け合いなのだ、お客さん。

 「うっさいな。/////////」
 「おお、セナ坊が反論とは珍しい。」

しかもしかも、なんて攻撃的な言い回しか。
やっと感化されて来たんでしょうか、
こちらのふわふか坊っちゃまも。(こら)

 「つか、感化って誰からのだよ。」

あ、すいません。(焦)
脱線ばかりしていてはキリがない。(まったくだ)
そろそろ僕も野球のお帽子に変えよかなと、
学校指定の黄色のお帽子の縁を引っ張りつつ、
縁から髪がはみ出してる辺りの汗を拭ってるセナくんへ。

 「それよか、こういうのを使えばいいのに。」

羽根が特殊なウレタン素材で、
折り畳めるから嵩張らないその上に、
水を染ませて回せば冷風扇みたいな効果もあるよという。
ハンディサイズの電池式ファンを、
ほれと回してやったりする子悪魔様。

 「うあ、凄い。こんなのあるんだvv」
 「今なら特別価格でお譲りすんぜ?」

こらこら、商売しないの。(う〜ん)
アスファルトが溶け出しそうな猛暑になるのはまだ先ながら、
そろそろプールのそれだろう、カルキの匂いもしてくるし、
風鈴の音やらスズメの雛の声、
そしてそして、セミがお目見えするのも間近い夏手前。
まずはの手初め、
七夕飾りを楽しんでおいでのお宅の前を通りすがったその途端、
小さなセナくん、ぱちんとその両手を叩いて見せて、

 「……あ・そうだ。もうすぐ進さんのお誕生日だ。」
 「そか、あいつやっぱり夏生まれなのか。」

赤ん坊時代を猛暑にさらされて育った風だもんなと、
結構…いいかげんとも思えぬ発言したのが誰かは内緒だが。(わはは)
それ言ったら、冬の厳寒期に生まれた誰かさんは、
その上 お坊ちゃまだってのに、何でああも雄々しいんでしょうか。

 “次男坊だからだろ。”

こらこら、容赦がないぞ。(う〜ん)
まだ梅雨が明けたワケではないながら、
それでもお空の青さは いや増して。
早くお休み、来たらばいいねと、
無邪気な坊やたちが たかたか駆けてったの、
夾竹桃の紅紫が揺れつつ見送った、文月の朝でした。




   〜Fine〜  12.07.02.


 *いやはや、もう七月です。
  月並みですが今年も半分が過ぎました。
  年齢が上がると月日の流れも早いよなぁ…。
  お仕事や家事でお忙しい人はもっともっと早いんでしょうね。
  まだ湿気の多い寒暖差もある日々が続きます。
  どうか体調管理に気をつけて、
  子供たちが一日中家にいる夏に備えましょう。(とほほん)

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